ちぐはぐ遠距離恋愛
「でも?」
「幼なじみだって、言ってた」
ドクン………っ!!
(おさ、ななじみ…)
忘れかけてたものが…
記憶に浮き上がる。
「『あいつが居なくなったら、実感なんて一生沸かねぇんだろうな…』って…真白ちゃんはさ、」
「……っ」
「諒太にとって、大事な幼なじみなんだね」
『諒太にとって、大事な幼なじみなんだね』
あたしは、諒太にとって
大事な、――――“幼なじみ”
「おさなな…じみ…」
「真白ちゃん?」
「そっ…か…」
「あ、あたしの自己紹介まだだったね?」
「えっ…」
「あたしは八重島海来!よろしくね?」
(やえじま……みく…)
ヒラヒラと手を動かして、転入生はB組に入って来た。
転入生が教室に入れば、
女子は駆け寄り、
男子は冷やかす…
諒太を………冷やかす。
「真白お疲れ〜」
「あ、うん…」
あたしは横目で依弥を確認する。
席に座ると、力が抜けた。
「どうした?」
「まっしー具合悪いの?」
「いや…平気」
「そういえばね、海来ちゃんに会ってきたよ!」
奈緒美の声が明るく響いた。
「こらなおみんっ!」
「あ…」
舞の注意で奈緒美の口が閉じる。