ちぐはぐ遠距離恋愛
サナギと蝶
「……ってことで、後期の学級委員は大野で決定した」
一時間目の学活の時間。
舞に投票することができなくなった今、あたしに過半数を超える票が集まったらしい。
(めちゃくちゃ疑問なんだけど……)
状況の補足をすると、
学級委員は男女共に一人ずつ、クラスの全員から投票される。
今までは舞だったが、生徒会に所属してしまったら学級委員にはなれない。
男子は同じく北守[きたもり]になったが…
さきほどの言葉通り今回はあたしらしい。
「先生、是非とも推薦理由をお聞きしたいんですが?」
こめかみをピクピクさせながらあたしは尋ねた。
「女子はほぼ全員大野だ。男子からもまぁ…あるな」
このクラスは男子より女子が多いから、それで決まったってこと。
「理由は…だな。おぉ、これが一番多いな」
先生はそう言ってあたしを見つめた。
「男子にも女子にも隔たりなく注意できる!なによりそこらの男よりカッコイイ!!」
先生的にはきっと、女子の真似をしたんだと思うが…
それは中年親父の変態ボイスとして処理された。
ま、それは置いといて…
「だとよ。人気だな大野くん」
「先生までケンカ売るんですか?」
あたしの睨みに慌てて首を振る先生。
ゴホンと一つ咳ばらいをし、また喋りだす。
「じゃあよろしくな新学級委員!」
そう言われ、仕方なく前に出た。