ちぐはぐ遠距離恋愛
―――――――
「廊下は走らない!!これが鉄則だろーが!!」
「「…………」」
「返事は?」
「「はい……」」
「言いたいこと、わかるよな?」
「「すいませんでした」」
「お前ら同じこともー一回やるなよ?」
コクコクと首を動かす男子。
一人、明らかにやってないやつがいるが。
「ったく、お前らまじ幼稚。鬼ごっこやんなら昼休みかほ…「まぁまぁ、それくらいでいいんじゃない?」
(は……?)
あたしの言葉を遮って隣に立っていたのは、
「八重島さん…」
「男子たちも反省してるようだし、ね?真白ちゃん。許してあげない?」
それはそれはまたこの世のものとは思えないような笑顔で微笑む八重島。
仕方ない、と思ってしまいそうになったが、必死に堪えた。
――――「悪いが、それはムリだ」
「え…?」
八重島は目を見開く。
「確かにこれだけ見りゃあ反省してるように見える。でも、こいつらは数時間後にはもう忘れて同じこと繰り返すんだよ」
「そう、なの?」
「もちろん、いいとこもある。遊ぶなとはいわない、楽しむなとも言わない」
だって、それを制限したら生きてられない。
そう思うから
「でも、ルールはルールなんだよ。守んなきゃいけないって教わったもんは守り通す」
「またルール…」
「めんどくさいけど、それは決まりごとだ。そしてそれを注意するのがたぶんあたしの仕事」