ちぐはぐ遠距離恋愛

忘れられない想い




みんなはさっきのことには触れず、いつも通りに過ごしてくれた。

あたしも普段通りに過ごす。


授業は終わり、舞と一緒に部活へ向かった。



「そろそろ引退か……」



ぽつりと、舞が言った。

時期はもう十月の半ばだ。

吹奏楽部は一番引退時期が遅い。

だけど、お世話になった三年生が部活から消えるときがもう目前に迫っていた。

今月の下旬にある合唱コンクールと連合音楽会が終わったら、引退だ。

まぁ受験が終わった後の二月下旬くらいにまた戻ってきてくれるんだけれど。


それでも、三ヶ月間はきっと想像もできないくらい寂しい空間になるだろう。



そう考えると、やっぱり嫌だった。



「そうだな…」



しんみりしてしまう空気。

あたしたちはそれから何も喋ることなく歩きつづける。


ふいに、後ろから声がした。


「真白ちゃん!」


振り返ると、葵先輩と実奈先輩が笑顔で駆け寄る。


「早いね〜!掃除は?」

「「今日はないんです」」


あたしと舞の揃った声に実奈先輩は笑みを浮かべながら頷いた。




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