ちぐはぐ遠距離恋愛
四人しかいないのに、ドラムセットやティンパニーなどの打楽器で狭く感じる部室。
変な圧迫さを感じながら、あたしたちはダラダラ準備を始めた。
楽器を組み立て終え、舞と木管練習室(本来は視聴各室)に移動しようとした時だった。
「あと五周!!」
太い声が耳を貫いた。
あたしたちは顔を見合わせる。
外は雨。
二人とも、思ったことは一緒だ。
(今日はうるさくなりそう)
あたしは嫌な顔をして、廊下を覗き込んだ。
何人もの生徒が向こうから走り抜けていく。
そう、サッカー部だ。
「今のうちだね!」
列が一旦途切れたあと、舞がそう言った。
あたしも頷いて、舞を先頭に急ぎ足で木管練習室へ。
あたしが入り終わると同時に、またサッカー部が廊下に現れた。
「……ったく、こんなとこで練習すんなって…」
あたしの言葉に舞は「仕方ないよ」と優しく笑った。
どこまでもお人よしだ。
さて、楽器は持ってきたけれど、他にも譜面台やメトロノームなども必要。
それからは先輩も一緒に時を見計らいながら部室間を移動していた。