ちぐはぐ遠距離恋愛
そして、それを言われたら、どうしようもなくなる。
所詮、小心者の決心は揺らぎやすいものなんだから。
「真白は…「やだよ」
彩夏の言葉の上に、ポツリと、落とすように言った。
「そんなこと、分かってる」
あたしは、あたし。
村野を諦められないのだから、
蚊帳の外でみまもっているなんて出来るはずがない。
それでもやらなきゃいけないことなんだ。
「真白がそういうなら、あたしは応援しないから」
「彩夏…?」
強い眼差しで、彩夏が言った。
「あたしは、本当の真白の恋を応援したいの。でも自分にまで嘘つくなら知らないよ」
「…………」
「真白は真白。絶対に、見守るなんて無理なんだから!」
「あっ」
彩夏はすたすたと走って行ってしまった。
あたしと優香子だけが、この場に残る。
「ウチは、あんまり恋とかわかんない」
「…うん」
「それでも、真白が諒太を好きだった気持ちは本物で、ツンデレながらも誰よりもあいつを想っていたことはよく分かってるつもりなんだけど」
「優香子…」
「そんな真白が、一番真白だったよ」
「っ………」
一たまりもない、言葉だった。
痛みすら感じないが、あまりいい気持ちではない。
心が、震える。
自分が、本当に分からなくなって…
「そっか…」
足の歩みを、早めに進めるだけだった。