ちぐはぐ遠距離恋愛
『…まぁ…スキだけど?』
小学二年生だった。
俺は素直にそう言う。
『やっぱりなー!おまえらは結ばれる運命だと思ったぜ!』
『結ばれるって、何?』
やけにテンションが高かった兄貴は俺の質問で眉間に皺を寄せていく。
むろん、このときの俺が冗談でも天然なわけでもない。
『結ばれるっつーのは、付き合うってことだ』
『は?付き合うって何だよ』
『え?!いや…ちょっと待てよ?』
頭を抱えて唸りだす。
その姿を俺はしっかり覚えているくらい見つめた。
『あのさ諒太、真白ちゃんが好きだよな?』
『うん』
『じゃー、優香ちゃんは?』
『スキだよ?』
その返答で、やっと理解した様子だった。
俺が思っている“スキ”と、兄貴の言う“好き”の意味が違うことに。
『わかった、真白ちゃんと優香ちゃん、どっちがスキ?』
『真白』
『真白ちゃんが他の友達と話しているとき、嫌な気持ちする?』
『嫌な気持ちー?わかんねーよそんなの』
そんな問いを繰り返されたけど、結果的にも俺はこのころからあいつを意識するようになった。
兄貴が言った通り、
あいつが他のやつと話すとイライラしたし、
ずっと一緒にいたいって思った。