ちぐはぐ遠距離恋愛
「どうして、認めないの?」
「海来?」
「どうして、好きだってわかんないの?!」
今まで聞いたことのないほどの声だった。
普段は清楚な海来が、大きい声を出せるのだと初めて知った。
「諒太が気づいてないだけで、絶対にあの子のことをずっと想ってきたんだよ!」
「は?」
必死な海来。
“俺が気づいてなかった?”
(そんなわけあるかよ。俺は俺だ)
俺のことは俺が一番よく分かっているはず。
「分かってよ。真白ちゃんが好きなんでしょ?あの子がいなくなったらきっと生きていけないよ?諒太はきっと、ずっとずっと、想ってたんだよ!」
そういうはずなのに……。
どうして俺はこんなに動揺しているんだ?
海来の言葉は、一つ一つ確実に俺を捕らえる。
「………」
「真白ちゃんだって、諒太が……「そうかもしれない…」
その次の言葉を聞くのは無理だった。
今までの俺の行動を否定することになるのはあまりにも酷だ。
それに、もしもあいつが俺を好きだったとしてももう遅い。
嫌な期待なんてしたくなかった。
「でも俺は……」
「でも?」
海来が不機嫌そうに聞き返す。
喉がぐっと閉まったため、俺は無理にこじ開けて重々しく言葉を投げ捨てた。
「…俺は…あいつを幸せにはできねぇよ」
これは、
ずっと分かっていたことだ。
俺にはなにもできない。
あいつを幸せにすんのは俺なんかじゃない。