ちぐはぐ遠距離恋愛



――――――

『今日は、今までのは中で一番の寒さでしょう』


可愛い天気予報士のお姉さんが、耳当てにマフラー、手袋をつけて教えてくれた。

時期は進みに進み、12月。


「早いなー」


と母さんがキッチンで呟いた。

体を震わせながら外へ出ると、北風が強く吹いてあたしの背中を押す。


「さみー」


独り言をぼやきながら、あたしはゆっくり歩みを進めた。

後ろに、諒太がいるのを確認しながら―――


校門について、校舎についている時計を見上げる。

はいた息は白くなり上に上ったときだった。



小さい雨のようなものが視界を通る。

だけどそれは雨なんかではなくて、白く玉になって落ちていく。

分からない人なんていない。


これは―――――



「「………雪」」



声に出して耳に入ったのは、あたしだけの音じゃなかった。

わざわざ確認のために後ろを見なくてもいい。

声が聞こえるだけで十分だった。


「真白ー!!」


これまた大きな声が後ろから聞こえた。


「ぉわっ」


後ろからずしりと乗っかられる。

モコモコの可愛いピンクの手袋も視界に入り、あたしはそれを優しく掴んだ。


「お前なー「見てみて!雪っ、雪っ!!」


まるで幼稚園児のごとく上を指差すのは奈緒美。


「んなの知ってるわ」

「もう!真白はロマンチストじゃなさすぎ!」

「別にいいし。てか、そろそろ降りろ!」

「やーだ!真白暖かーい♪」

「おいこら、苦しっ…」


ギューッと抱き着かれ、暑苦しいほどのコートの袖があたしの喉を圧迫した。




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