ちぐはぐ遠距離恋愛
――――――翌日
外には昨日の雪が少しだけ積もっていた。
空は晴れているが、溶かすには気温が全然足りない。
白い息があたしの上をふわりと舞った。
クリスマスが終われば、周りのテンションも下がる。
街のイルミネーションも、昨日までが嘘だったように消え去っていた。
あとは今年が終わるのを待つだけのようだ。
「まーしろっ!」
教室にはいり、鞄を机に置いただけのあたしに奈緒美がギュッと抱き着く。
「コート濡れてるから奈緒美も濡れるよ」
「大丈夫ーっ」
「大丈夫じゃない」
奈緒美の腕を掴んであたしは一歩下がった。
「風邪引かれたら困るから、離れてな」
「キュンッ!!」
(キュンッ…て、口で言うのか?!)
そんなあたしの表情を見たのか舞はクスリと笑った。
奈緒美はあたしのコートを脱がして、それからまた抱き着く。
「これならいいでしょっ?」
「……もう知らね」
奈緒美が抱き着いたまま教科書たちを机に入れて、
奈緒美が抱き着いたままバックをロッカー室に置きに行った。
「大野……」
そう聞こえて振り向くと、山内や市之塚…諒太がいて、
同情の目で見られた。
「お疲れ様だな…」
「あぁ…」
「ふふっ、うらやましい?」
「うらやましくねぇよっ!!」
奈緒美の言葉に山内は叫んだ。
舞は苦笑いで、あたしはもう笑えない。
………諒太の表情が、心なしか怖いから。明らかに引き攣っている。
「真白はウチのだからねっ!誰にも渡さないよ!」
そう言った瞬間、諒太が深くため息をついて顔を上げた。
(げっ、恐すぎ…っ!!!)
その表情にあたしの顔は凍ったように固まった。
首を動かせないから目だけ逸らす。