ちぐはぐ遠距離恋愛
世界には人口が約70億人くらいいるらしい。
あたしの知っているこの場所だって、世界規模で考えたらちっぽけだ。
『隣にいるのが当たり前』が、保育園児の小さな胸のときめきに変わったあの日に始まった。
向こうの勝手な誤解で、十年間も想いつづけたこのすれ違いの恋。
あたしにとっては長かったけれど、何十億年も生きてきた地球にとっては比にならない。
『世界は不平等』そう思っていたころのあたしは、
そんな不平等な世界を作った神様に嫌われないように精一杯だった。
「幼なじみ」もとい……「あいつの中で存在できていればいい」とか、わけわからんことを願っていた。
勝手に歩いて、距離とかじゃなく気持ち面の問題で離れていくあいつ。
苦しくて辛くて、どうしようもない…理不尽な現状が嫌で嫌で仕方なかった。
それでもそんなあたしを変えてくれたのは、葵先輩とコウ先輩。
『だからね、どんなことだって生きているうちにあることは必要なことなんだよ。
馬鹿だ阿呆だって思うようなことはあっても、“無駄とか必要ない"ってことはないんだとあたしは思うの』
こんな言葉が、強がっていた自分を見つけだしてくれた。
たくさんの人に支えられて、結局あたしは…
『人を愛すこと』と、『人に愛されること』を覚えた。
恋をしている身だったが、「くだらない」とかそんなようなことばっかりで…。
あたしは長い間何をしてきたのだろう……
そう思うようにもなった。