ちぐはぐ遠距離恋愛



なんか、



馬鹿らしくなってきた。




「ごめん…」

「「「え…?」」」

「別にあたしが関係してないことかも知れなかったよね」

「大野?」

「山内、思い切り蹴ってすまなかった」

「おい…どうしたんだよ」

「………」




あたしは何も言わずその場を離れた。





今、ものすごく自分が嫌だ。



この怪力だって、

男らしい性格だって…。




自分で制御できるものなのに、




あたしはわざわざ、

しかもそれを諒太の前でやってしまう……。




どうすればいいのか、
わかんない……。




もうこのままいっそ、

男子に生まれたかった。



だってそうしたら…、





―――今でも仲良く一緒にいられたかもしれないでしょ?





水を飲もうと一人、冷水機に向かう。

その最中、何となくみんながあたしに道をあけてくれた気がした。




(これ、おかしいでしょ)



何で同い年なのに、

道をあけられなきゃいけないの?



あたしは普通の中学二年生で、




奈緒美とか、

そういう女子になりたくて……。




恋も、



普通にときめいて、

振り向いてもらえるように頑張ってさ……。



告白したりして、

みんなで恋ばなで盛り上がったりしたかったのに……。





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