ちぐはぐ遠距離恋愛



なのに………。





あたしは、
まず女子だと思われていないんだ。




男子はあたしに普通に手をあげるし、

もう男と見られている。



そりゃ、あたしの怪力やこの性格にゲーム等の知識……。



確かに……男子だよね。




って――自覚してしまう。



だから、奈緒美に色々教えてもらったりするのに……。


スカートとか、フリフリのレースはまだ抵抗感だってあるけど。



あたしはあたしなりに、





頑張ってる。





「頑張ってるのに…」




小さく吐き出した声は、
誰にも聞こえることなく空気にやんわりと溶けた。


夏の暑さが、一層モヤモヤさせる。




「…………っ」




認めてもらえない、

気づいてもらえない…。


こんなの意味ないじゃない……っ!




(どうすればいいんだよ…)




どうすれば、



あたしは女子になれるの?





諒太、あなたの瞳に映ることができるの?






――――(戻りたいよ)





過去の記憶が巻き戻される。




みんなの笑った顔で、視界が明るくなる。





戻れるなら、

今すぐにでも………。






三年前に、





戻りたい…………。






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