ちぐはぐ遠距離恋愛
―――――数日後
あたしは舞の家に来ている。
珍しく舞から遊びのお誘いが来たのだ。
今日は日曜日。
しかも朝は早い。携帯を見れば、時間は十時過ぎだ。
依弥と奈緒美の自転車が置いてあり、あたしはその横に止めた。
そしてインターホンを押す。
『まっしー、開いてるよ』
あたしはその声に導かれるように扉を引いた。
「デルちん、おはよう」
「みゃーん」
あたしの声に反応するように泣いた猫のデルタが、迎えてくれた。
鍵を閉めたあと、あたしはデルタを抱き上げ二階に上がった。
でも、舞たちの姿は見えない。
デルタを下ろして三階に上り、舞の部屋を開けた。
「いらっしゃーい!!」
「わ…っ」
奈緒美が両手を広げてあたしを招き入れた。
そして……。
目の前には、
ハンガーにかけられた服、服、服、服……ばかり。
「さ、入って入って!」
お母さんの影響か、相変わらずオシャレな舞がいくつか服を選ぶ。
依弥はあたしと一緒で服に興味ないため、端っこで見ている。
あたしは舞から服を渡され、部屋から追い出された。
「琴[こと]の部屋で着替えてきて」
依弥はそう言って扉をバタンと閉めてしまった。