ちぐはぐ遠距離恋愛



あたしは急に緊張しだす。


みんなの視線が、注がれる。




「まさか…」



陵本があたしの隣にきた。



「身長…ちいせぇよな」

「……っ」



そしてあたしの腕に触れた。


その途端、




ぞぞぞ〜っ!!
っと背筋が凍る。



あたしは咄嗟に腕を振り上げた。



「さ…触るなぁ!!!」






周りがしーんとなる。



陵本はあたしを触った手を開いたり閉じたりして、こう言った。



「ほっそ…」




(ばれてる、絶対にばれてる…!!)




「まじ?」



山内がそう聞いてくる。

あたしは陵本に触られたところを摩りながら黙り込む。



そんでもって、奈緒美たちに非難と助けの目を向けた。



「みなさん、大せいかーい!」




奈緒美が開き直ったように言いながらあたしの隣へ。



ウィッグをゆっくりと外され、縛ってもらった髪の毛を下ろされた。



「お、大野!!」

「…………っ」



何も言えずあたしは縮こまる。



「まじかよ…」



水戸が目を丸くする。

「気づかなかった…」



陵本が笑った。



「てか、ばれないってどんだけだよ!」

「うるさい!そんなの、あたしのほうが知りたいよ!!」



(そうだよ。よく考えれば、)



「何でみんなして気づかないの?!」

「声は高いと思ったけど、普通に足早いし、ボール速度とかハンパないし……なにより、」



「「顔がイケメンで、言葉も男」」


「ハモるなよ!!」



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