ちぐはぐ遠距離恋愛
帰り際、舞ん家に寄った。
琴が帰ってきていて、デルタと一緒に迎えてくれた。
「あ、真白ちゃん。お姉ちゃんたちは?」
「ごめん、真白だけ先に帰ってきたの…」
「そっか!どうぞー」
「ありがとう」
あたしは舞の部屋に上がり、自分の服に着替えて荷物を持った。
洋服が変わったあたしに、琴が不思議そうに首を傾げた。
「さっきの真白ちゃん、男子みたいだったね…」
キリキリ痛みだした心を押さえて、あたしは苦笑いをしながら家を出た。
自転車をだして跨がり、自宅へ向かった。
家につき、真っ先に自分の部屋へ走った。
バタンと勢いよく扉をしめつけ、あたしはそのままズルズルとしゃがみこむ。
苦しくて、
辛くて、
悲しかった………。
十年なんて、
漢字にしたら二文字だし、
言葉にしたらたった五文字だ。
そんなに簡単に表せてしまうのに、その中身は約三六五○日にもなる。
その間、あたしはずっとあいつを思ってた。
ずっと、ずっとずっと……。
そんなのを、
たった一日で消せなんて残酷なことは誰ひとり言わなかった。
でも、分かった。
遠回しにされながら、だけど確実にあたしの元に忍び寄ってきていた。
そう、確実に………。
今日それがあたしにやっとたどり着いたんだ。
これは、
運命…………。
何が何でも、今日であいつを諦めなきゃいけない。