ちぐはぐ遠距離恋愛
放課後。
部活の休憩中に、窓から顔を出して下をみる。
あまり広いとは言えない校庭がよく見える。
ここは四階だから、景色も風通しも、太陽の当たり具合だって丁度良い。
今は夏だけど、冬は暗くなるのが早いから絶景がここから一望できるんだ。
今日の校庭はサッカー部が使っていた。
バスケや、バド、陸上部との兼用。
(最近、あまり見なかったな。校内で筋トレしてたもんね)
昨日までのハードな練習風景と、今のグルグル走り回る人達を比べた。
諒太と、山内、市之塚達がサッカー部員。
「もっと上がれ〜!!」
チーム対抗でミニゲームをやっていた。
コートの隣で大声を出して指示する人がいて、諒太がその人に近づいていく。
「サッカー部、相変わらず元気だね」
「はい」
葵先輩も隣から顔を覗かせた。
「あ…っ」
諒太を追いかけて見た視線のさきに居たのは、高杉先輩。
「あの人、サッカー部だったんだ」
「コウ?うん。あいつ部長だよ」
「えっ?!あんな変な人が?」
あたしの言葉に先輩がクスクス笑う。
と、同時に、高杉先輩がふいにこっちを向くから目があってしまった。
大きく手を振りながら先輩がでかい声で叫ぶ。
「おーい!真白ちゃーん!」