ちぐはぐ遠距離恋愛



「はっ?!」



葵先輩も、…諒太もあたしの方を向いた。

あたしは何の返しもせずその場にしゃがみ込んだ。


「あれー?真白ちゃーん?」


先輩の声が耳に来る。


「なんつーことを…」


葵先輩もしゃがんでこう言う。


「気に入られちゃったね、真白ちゃん」

「冗談じゃない…っ」


耳を押さえる。



(てか、いつから真白ちゃんって呼ぶようになったんだよ!)



わけのわからないものがと沸き上がる。


「へぇー、照れちゃった〜?」


ブチッと、頭の中で何かがキレた。

あたしは勢いよくまた窓から顔を突き出す。




「照れてねぇーよっ!!!」




言ってからハッと気づく。

(また口悪くなっちゃった)


それでも先輩は嬉しそうに笑った。



「かわいい!」

「な゙…!――声がでかいんですよ!!さようなら…っ」



バンと音をたてて力強く窓を閉めた。

「コウ、本気かな?」って、葵先輩が隣で面白そうに言った。



(本気?)



その言葉の意味はわからなかった。

というか、あたしはそれどころじゃない。


この赤くなった顔と、胸のドキドキを、早くどうにかしなけりゃならない。



(何でこんなになっちゃったんだ?)

って、疑問に思っちゃう。




先輩の意味わからない発言に―――?

それとも、
先輩があたしに色々叫んでた時の、





あの嫌そうな、、もう超不機嫌さ丸出しの顔した諒太――――?





(そんな顔されたら、期待しちゃうじゃん…っ)



ヤキモチ妬いてるって、


勘違いしちゃいそうになるんだから、





やめてよ………。



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