ちぐはぐ遠距離恋愛
「大野!お前、高杉先輩と?」
「まじで?いつから?」
「お前彼氏なんて出来るのか?」
「ずっと聞きたかったんだよなー」
「最近仲良いよな」
男子まで参加。
あたしだけ、追いつけない。
「ちょっと、落ち着い…「えー?本当?」
「超ショック」
「高杉先輩、最近テンション高いもんな」
あたしの話なんて、聞いてくれそうにない。
(こんなのになったのも、先輩のせいだ……!)
逃げようとしたあたしを男子が捕まえる。
「逃げるな!」
「うわっ!てめぇ、触るなッ!!」
掴まれた腕を振りほどく。
「真白っ」「大野!」「真白!」「大野」…―――
もう限界だった。
頭の自律神経が麻痺していき、深呼吸をした。
「うるさーい!!」
この一言でやっと静かになる。
「あたしは先輩と何の関係もないし、好きでもなんでもない!!」
「「「え?!」」」
「話しかけて来たりするのは全部あっちからだし、あたしは興味なんかない!」
「「「そうなんだ…」」」
勢いをつけて説明したから、息遣いが荒くなる。
「ったく、みんなして何なんだよ!
人の話はちゃんと最後まで聞いきなさいっ。
めんどくせーな」
あたしは廊下に出た。
「本当に何でもない?」
「えっ…」
あたしの後ろから声が聞こえた。
振り向かなくても、分かる。
「何でそんなこと聞くの?」
「いいから答えろよ」
「何にもないよ。諒太まで気になるの?」
「別に」
「……だから、別にってな――あれ?」
振り向いた先にはもう姿はなかった。
だから、
そういうことされると、
「勘違いしちゃうんだって……」
あたしの声はやっぱり誰にも聞こえなかった。