ちぐはぐ遠距離恋愛
夏休みの恋心
〜♪♪〜〜♪〜♪
「こらそこのチューバ、もっと大きく吹いて!」
「は、はい!」
「じゃ頭からもう一回」
先生の大きな声の中、あたしたちは朝からずっとこの調子だ。
あと二週間後に控えた演奏会での発表のため、夏休み中でもこうして練習を続けていた。
―――――……
「今日、サッカー部やってるんだって」
優香子が囁く。
思いどおりにならない心臓はドキッとしてしまった。
「今のはどっち?」
「な、なにが?!」
「諒太にドキッとした?それとも、高杉先輩?」
「な…!してないっ!」
「あ、真白ちゃん!!」
「わあ…っ」
ポンと後ろから肩を叩かれる。
振り向くと居たのはやっぱり高杉先輩。
「今日の祭、来る?」
「本三公園の祭ですか?」
「うん」
「あー、別に行く予定はな「行きます行きます!!」
あたしの言葉を遮って彩夏が出てきた。
「は?ちょ、何言って…「私と、優香子と、最初の方から行きます」
優香子も、「え、うちも?」と言う顔をした。
あたしだってビックリだよ……。
「そっか、会えたらいいな…」
「……っ」
あたしの頭にまた手を乗せる。
「コウ、真白ちゃんを虐めないでよ?」
葵先輩があたしに乗せられた手を払った。
「虐めてねぇよ。な、真白ちゃん」
「虐められました」
「な?!……ったく、素直じゃないなぁ。真白ちゃん、じゃあまた後でね」
嵐のように去っていく先輩。