もう一人の花嫁……


目を閉じれば、今だって史郎の声が聞こえる。


この私の耳に残って離れない、甘く優しい声が。


史郎と出会ったのは一年前。


コンビニで偶然見かけて私が一目惚れ。


それからしばらくして私達は恋人同士になった。


私の住む一人暮らしの1LDKに史郎の荷物がどんどん増えていく。


歯ブラシ、洋服、靴、お揃いのコーヒーカップ、パジャマ……数え上げたらキリがない。


私だけの空間がどんどん貴方の色に染まっていく。


それが凄く嬉しかった。



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