もう一人の花嫁……
−永遠の愛なんて誓わせてやるもんですか!!−
神父による聖書奉読がはじまった。
いよいよだ。二人が永遠の愛を誓うその瞬間……
その時こそが花嫁の終焉。
不意に唇の端が歪み、奇妙な笑いがクスッと漏れた。
大丈夫、誰も気付いていない。
私はクラッチバックをそっと開け、中のアイスピックを握った。
じんわりと掌に汗をかいているのを感じた。
ほどよい緊張感に身体中包まれる。
花嫁のドレスが深紅に染まる瞬間を想像すると興奮にも似たものが込み上げてくる。