ウサギとハゲ、もとい社長
これ以上此処にいたら危険だ…。
社長の毒にやられる。
「では行って参ります」
「あっ、ちょっと、うさぎちゃん!」
「緒方です」
軽くうざったらしい社長を一瞥し、ヒールを響かせて社長室から出た。
--チン
企画課って何階だっけなぁ。
脳の底から記憶を引っ張り出して悩んだすえ、黒い5のボタンを押し、壁に背を預けた。
と、鏡にチラッと自分の姿が写る。
何処にでもいそうな
一般的な身長、一般的な髪、一般的な顔。
唯一のポイントと言えば、真っ黒くふちどられた目。
ライン、マスカラいらずなこの目は便利だが、全体的に普通。の一言で済むあたしには、浮く存在なのかもしれない。
ホント、あの社長が羨ましい。
アレで男。
女としての自信を無くす。
いや、元々無いけどね?