無口でクールな転校生。
ここで山口は俺のほうへ向き直った。



真っ直ぐ見つめてくる瞳に、俺は少し動揺した。



「な、なんだよ?」



「実は、笹本さん…返事でこう言ってたんだ。

『あたし、今気になってる人いるから』って。

それって、お前のことじゃないよな?」



挑むような瞳で俺を睨む。



「はぁ?ちげーよ!笹本さんは俺に興味なんて全然ないから」



俺は朝の、佐藤と俺の言い合いを思い出した。



あのときの笹本さんは、全く動揺していなかった。



< 56 / 92 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop