無口でクールな転校生。
「あなた、簡単に女の子にそんなこと言ったらダメよ。世の中には勘違いしちゃう子だっているんだから」



そう言って笹本さんは怒ったように肩を上げて歩きながら、教室を出て行った。



「まさか、沙優……」



博明は笹本さんが出て行った先を見つめながら、そう何度も繰り返し呟いていた。



コイツ、余程笹本さんのことが好きなんだな。



まぁ笹本さんに惚れるのは、わかる気がする。



俺だって正直、笹本さんに惹かれてしまっていた部分もあった。



さりげない優しさ。


綺麗な顔。


長い睫毛。


ツンとした雰囲気も魅力とさえ感じるくらいだ。

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