盲目の少女 〜私の見える世界〜
「あのな、遥翔。
海輝はな、今 目が見えにくいんだ。」
「目あるよ。ほらここ」
遥翔は海輝の両目を指差して言った。
「見えるよ。ほら、笑ってる」
「遥翔、目があっても、海輝の視力は
とても弱くて、今ほんの少し見えてるだけで、
大きくなったら見えなくなってしまうんだ。」
「今もじゃあ、見えにくいの?」
海輝に尋ねるように聞いてみる。
でも、海輝は何も答えない。
舌を少し口から出したりしているだけ。
「ねぇみきちゃん、見えないの?」
「遥翔。みきちゃんはね、赤ちゃんだから喋られないの。
だから、泣いて言いたいことを伝えるの。」
「泣いて?」
「そぅ。だからはると、みきちゃんが泣いていたら
頭をよしよししてあげて。
優しく撫でてあげて。それで、
“大丈夫だよ”って言ってママを呼んで」
「うん、わかった!」
「いい子ね、遥翔。」