盲目の少女 〜私の見える世界〜
金曜日だけど
幼稚園は創立記念日で休み。
早速準備して家を出発した。
車で1時間行くと、窓の向こう側で
太陽に照らされてキラキラと光る、
綺麗な海が見えた。
「ママ、きれーだね。」
「綺麗だね。海は青色。空も青色だね」
「青色〜!」
海輝と紅葉が声をそろえて言った。
視力が弱く、肉眼では小さなものや
薄い色のものが、見えにくくなった海輝の目。
でも、二重で大きくパッチリと開いた2つの目で、
海輝は、美しい海を体全てで受け取っている。
「着いたよー」
「やったー!もみじ、姉ーねが手つないであげるね」
二人は小さな手と手を重ね合わせて
勢いよく 車からとびおりた。
「転ばないようにね」