旧校舎に響く声
学園祭


「じゃ、3時からある演奏絶対見に来てね!!」

「うん、楽しみにしてるから。」

そう言ってお姉ちゃんは体育館へ走って行った。

今日はお姉ちゃんの学校の学園祭で、私は遊びに来ている。3時からAKV48の曲を演奏するから聴きにきて、と前から言われていた。

「んー、どこから行こうかな…。きゃっ!!」

急に強い風が吹き私が被っていたベレー帽が飛んでいってしまった。

「あ゛-、お気に入りだったのにー。あっちに飛んでいったよね…。」

飛んでいったと思われる方を見ると膝位まで伸びた草が沢山生い茂っていた。
進んで行くにつれて辺りは暗くなっていき、草は長くなっていき腰位まである。

そして草の終わりが見えた…。

「やっと抜けた…って、何これっ!!」

目の前には木製の大きな建物が現れた。
窓ガラスは割れており、ツタち半分が支配されていて、ザ・旧校舎だった。

「まさかこの中に…。」

嫌な予感がする。(こういう時に限って当たったりする)
右から順に割れた窓の中を見ていくと…

嫌な予感的中っ☆

2階の窓にベレー帽が引っかかっていた。
白だから暗い場所に良く目立つ。

「はぁ、取りに行くか…。怖いけど。」

半開きのドアから中を少し覗いてみる。
埃とカビの臭いが少しする。


入りたくない。
でも帽子を取りたい。


そんな格闘をしていると背後から声がした。



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