ワタシは騎士【ナイト】、キミは姫【プリンセス】。
それから私は、美男子樹くんと、そのお母さんのいまに至るまでの長い、長い闘いの話を聞いた。
『それじゃあ、あなたは自分のお母さんの「自分の子供を有名なお嬢様学校に通わせたい」っていう夢を叶えるために、わざわざ女装までしてこの学園に来てるの!?』
「はい、そうなんです。生憎家は男兄弟しかいなくて……末っ子の自分も男ですから……母が女装させてでも入れてやるって、母は一度言ったことは、なにがあっても曲げないひとなので……」
すごい……そんなお母さんがこの世の中にいるなんて……。
「あのぉ、できればこの事は誰にも言わないで頂きたいんですけど……」
あっ、本当に困った顔をしてる……
『大丈夫だよ。誰にも言わないから、まぁまだ頭がついてきてないけど……』
「ありがとうございます!あ、でもどうしましょう…僕どこで暮らせば……」
『えっ、このままいればいいんじゃないの?樹くんのコト知ってるの私だけなんだから、バレなきゃ大丈夫でしょ』
「えぇぇっ!!??いいんですか!?」
なにを慌ててるんだろ?
『別にいいでしょ』
「いや、でも……」
その後も樹くんは1人で何かをぶつぶつ言っていた。
『それじゃあ、今日はもう寝よっか?』
「……はい……」
『今日は色々なことがありすぎてスッゴク疲れた……』
1人でボソッと呟く。
樹くんも疲れたのか、もう寝ている。
まさかお母さんは、自分の娘が男の子と一緒に暮らすことになってるなんて、思ってもないだろうなぁ…………あれ……ちょっと待てよ…これって……
『同棲じゃーん!!!!!!』