若恋【完】
奏さんの元へ帰ろうよ…
わたしと一緒に、仁さん帰ろう…?
「―――あんたと初めて逢ったのは桜の頃だったな」
ポツリ。
仁さんが遠くを見るような目をした。
「…龍神会との抗争で襲われたあの時、車は歩道に乗り上げ動けず俺も若も絶体絶命だった。あんたが飛び出してこなかったら確実に俺たちはあの世行きだった」
「そんなこと……」
「若を庇ってケガをしたあんたをその後も若は強引に自分の手元にあんたを置き続けた。それが俺には許せなかった」
「…許せなかったってどうして?何が許せなかったの?」
「大神組の息子だから許されるのか?若頭だから許されてしまうのか?、鳥籠に閉じ込めるような生活を強いて」
「それは…奏さんがわたしが龍神会に狙われたりしないようにって守ってくれていたからで」