若恋【完】
「そうかな、奏はあんたを手に入れたかっただけだ」
チクリ
仁さんの言葉が胸に突き刺さる。
「俺はあんたを自由にしてやりたい」
「…わたしはいつだって自由だよ。それにわたしを連れ出したら仁さんが」
「―――俺のことはいい」
仁さんがわたしを横目で制した。
「元の世界へ帰してやりたい」
「仁さん…わたし、…奏さんのところへ戻りたい。お願いだから。仁さんも帰ろう?」
一緒に帰ろう、仁さん。
だけど仁さんは首を横に振ってわたしを拒絶した。
「―――賽は投げられたんだ。もう後戻りはできない」