若恋【完】
車で20分。
わたしが連れてこられたのは高層マンションの最上階だった。
専用エレベーターから降りると、ふたりサングラスをした背の高い男のひとが扉の前に立っていた。
ふたりは仁さんとわたしに軽く頭を下げてると、部屋へ通した。
「ここは……?」
聞いたら、あっさりと、
「奏の夜の遊び部屋」
と、仁さんが答えた。
「あんたに出会う前は毎晩のように派手な女がここに出入りしてた。さっき、あんたに声をかけてきた女もその中のひとりだ」
ズキン
さっきのきれいな女のひとは奏さんの彼女だったのかな。
わたしはこの部屋が存在してることさえ知らなかった。
「俺の居そうなところは、もう奏が押さえてるだろう。ここは忘れられた場所だ。しばらくは誰も来ない」