若恋【完】
「りおをどうするつもりだった?答えろ」
沈黙が流れて、部屋の空気が重い。
「仁、答えろ」
「………」
「仁!!!!」
悲痛な叫びが胸に刺さった。
奏さんが仁さんをどんなにか信用していたのかを知っている。
だからこそ信じられない。いまでも信じられない。
―――裏切り。
しばらくの沈黙の後、
「……俺の本当の名は天宮仁」
わたしをまっすぐに見据え、ゆっくりと仁さんが話始めた。
「―――あまみや?」
「わたしと同じ、……名字?」
奏さんは腕の中にいるわたしに視線を落とした。
「りおとは親戚か何かか?」
仁さんはわたしを探るように見ている。
「……親戚?正式にはどう言っていいのか俺にはわからない。俺が小学校に上がる頃には、もう俺は名字が変わっていた」
「りおと親戚ではないのか?―――それで?」