若恋【完】
「―――俺と同じ年のくせに、毎日ゴツい大人たちに囲まれて、自分も大人ですって感じの妙に生意気なやつだった。
『行くところがないなら俺のとこに来い。飯ぐらいならいつでも食わせてやる』なんて言いやがった。
ケンカしてボロボロになったその足で奏のとこに行けば眠る場所もあって、
……一生ついて行ってもいいって思えたな」
それがなぜ。
なぜ、わたしを拐うの?
きっと奏さんも同じ気持ちのはず。
「奏の前にあんた現れた時は初めは苗字が一緒なんだろうくらいにしか思わなかった。
だが、あんたの父親を病院で見た時には―――正直、運命ってあるんだと思った」
「……まさか、りおが仁の、」
「仁さんはもしかして、」
仁さんが今話しているのが本当なら。
わたしにはお兄ちゃんがいたってこと?
「…あんたは父親そっくりだな」
本当に…本当にお兄ちゃんなの?
「戸籍なら調べてここにある。すべて真実だ」
「―――あんたは俺の妹だ」