若恋【完】
兄妹
あんたは俺の正真正銘の妹だ。
喉が震えた。
仁さんの話したことが真実なら。
「奏の、…鳥籠の中で暮らしていくよりも、空を自由に飛んでどこまでもいけるほうが幸せだと思えた。だが、あんたは鳥籠の中で生きることを望んだ」
「………」
「俺はもしかしたら…そんなことより……堂々と、兄と名乗りたかったのかもしれない。バカだな…俺は何を羨んで…」
仁さんはずっと独りで生きてきたんだろう。
わたしを見つけて大事に思ってくれてた。
顔を上げて奏さんを見ると、まだ怖い顔で仁さんを見ていた。
「…奏さん」
「俺は甘くねえぞ」