若恋【完】
嫉妬〜若の嫉妬〜
「若、嫉妬ですよ。それは」
「はあ?嫉妬だと!?」
榊の言葉に驚く。
「……この俺がか?」
この俺が誰に嫉妬してるって?
第一、これは嫉妬って言える感情なのか?
嫉妬っていうのは自分の女の兄弟にまでするものなのか?
「若、……それを立派な『嫉妬』と呼ぶのですよ」
窓辺に立った榊は口にくわえたタバコを燻らせながら、雪が降り始めた庭で遊んでいる兄妹を眺めてる。
「あのふたりが実の兄妹だったなんて……世の中そういう奇跡もあるんですね。神様のイタズラ、それとも同じく流れる血が引き合わせたのでしょうか」
「…………」
「りおさんに兄の名乗りをあげることができた仁は変わりましたね。感情に波がなくなっていい傾向です。反対に、若はふたりを見て落ち着かなくなりましたね」
「……そんなことはないと思うのだがな」