若恋【完】
Uターンして校門前に猛スピードで突っ込んでいく。
ちらほらと登校する生徒が銃声に慌てふためいて逃げて、さっき車にぶつかった男が道路脇に転がってた。
「榊、無事でいろよ!死ぬんじゃねえぞ!」
榊さんと離れたのはほんの少しの時間。だけど。もしかしたら。
「りお、悪いな」
「ううん」
「榊が体を張って逃がそうとしてくれたんだがな。俺にはできねえ」
仁お兄ちゃんの呟きは大きかった。
ギギギギ、バン!
車を横に滑らせ急停車して仁お兄ちゃんがドアの開けて飛び出した。
「来たぜ」
「バカですか、あなたは」
同時に二つのドアが閉まる。
「榊さんよかった!!」
助手席に雪崩れ込んだ榊さんを抱き締めたら指先がぬるりと滑った。
え?―――うそっ!?血が……!?