若恋【完】
ヌルッ
全身に一気に寒気がして指先を見るのが怖かった。
手が震えた。
「かすり傷ですよ」
榊さんは柔らかく微笑むとわたしの指を自分の上着でさりげなく拭った。引いた指には微かに血の痕跡が。
「榊さん……」
「ほら、援護にきたみたいです。あとは任せましょう」
車がすれ違いに手を上げてく。
待ち伏せしていた龍神会が返り討ちになる。
「りおさん、申し訳ありませんが安全が保障されるまでしばらく登校は」
「うん、わかってる」
こんな騒ぎがまたあるんだったとしたら、他の生徒たちも巻き込んでしまうかもしれないから。