若恋【完】
しばらく学校へは行けないってわかってる。
「家に戻りますよ」
「うん」
家に着いて、いつもは榊さんが車のドアを開けるのに仁お兄ちゃんが開けた。
「りお!!」
奏さんが走ってきていきなり抱き上げた。
「ケガは?」
「ないけど…榊さんが肩を撃たれて」
振り返ると榊さんはまだ助手席に座っていた。
わたしなら大丈夫です。行ってくださいとわたしに笑いかける。
「おまえが無事ならいい」
仁、後は榊を頼むぞ。
奏さんは後ろにいる仁お兄ちゃんと一階の毅さんたちに静かに告げて、すぐ二階へのボタンを押した。