若恋【完】


抱き抱えられて二階へ上がると、奏さんが背中をブルッと震わせた。



「…襲われたって連絡受けたときは心臓が止まるかと思った」

「―――でも、わたしは…無事だったよ?」


小刻みに震えた背中を逆に抱き締める。


わたしにできるのはこのくらいしかない。

いつだってわたしにできることは限られている。

奏さんを抱き締めることくらいしかできない。



「ずっと奏さんのそばにいるよ。何処にもいかないから…」

「その前に俺がおまえを手放したりしねえよ」


ベッドにわたしを下ろして
スルリ。

奏さんがわたしの制服のネクタイを外した。



「ホントにケガはないのか確かめる」



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