若恋【完】


「若の居場所がつかめませんね」

ドキン
胸の奥にツキツキと痛みが走って目眩がした。
息ができない。

「りお!」

「大丈夫…」

頭を殴られたような重い衝撃がきて、息ができなくて脂汗が浮かんだ。

「おまえは二階で寝てろ!」

「イヤ!奏さんを探さなきゃ」

「わたしたちが心当たりのあるところを探すので」

毅さんが崩れるように座り込んだわたしを支えた。

「わたしも行く」

「バカヤロ、勝手にしろ!」

仁お兄ちゃんが怒鳴るようにテーブルを叩いた。

「仁、りおさんを連れて行きましょう。若から直接連絡が入るかもしれませんから」

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