若恋【完】



「罠かもしれませんがこれから龍神会に乗り込みます」

榊さんが片腕を吊っていた白い三角布を外し、白Yシャツ姿になった。
その下には包帯の跡がはっきりと。
痛々しい包帯……
そして、榊さんはシャツの下には何も身に着けず持たなかった。

「榊さん……」

「これでいいんですよ。わたしが丸腰でないと龍神会の中には入れませんから」

消え入りそうな笑みを口元に浮かべた。

「敵地に乗り込む。危ないのは重々承知です。しかし、丸腰でいる相手に警戒心は薄れます」

「だけど」

心配だよ。
榊さんは自分を大事にしていないことが多いもの。

「この先はとても危険だと思ってます。それでもわたしはこのままで行きます。りおさんは若奪還のためにわたしについて来てくださいますか?」
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