若恋【完】
龍神会の正面で、榊さんとわたしが降り、仁お兄ちゃんは車の中に残った。
毅さんや前広さんの乗った車も、後の車も仁お兄ちゃんと同じく龍神会正面に待機する。
「若を必ず奪還してきます。だからここで待っていてください」
まともに取り合ってもらえないなら、わたしだって覚悟はできてる。
榊さんと直接乗り込んで奏さんを助け出すの。
「仁お兄ちゃん、行ってきます」
祈りに似た想いで歩き出す。
待っててね、奏さん!
必ず助け出すから!