若恋【完】
「大神奏には別の部屋でゆっくりしてもらっているよ」
どうぞ。
龍さんと呼ばれた奏さんと同じぐらい若いひとがソファーに腰かけるよう促す。
榊さんに目で促されて一緒に座ると、同時に目の前にお茶が出された。
「お嬢さんはコーヒーが苦手でいつもお茶でしたよね?」
横を見ると榊さんにはブラックコーヒー。
「なん、で」
なんで知ってるの?
わたしが普段コーヒーを飲まないこと。出されたら飲むけど今まで苦手って他人に言ったことないのに。
「違いましたか?」
「………」
答えられない。
すべてを見透かされてそうで…怖い。
「若はどこです?」
「まあ榊、そう焦らずとも」
榊さんの威圧的な声もあくまでも受け流す龍さんに阻まれて消えた。
「お嬢さんは大神奏の唯一の弱点」
ちらりとわたしを見て皮肉に笑う。
「あなたのためなら大神奏はなんでもする。だから利用させていただきました」