若恋【完】
「なにが狙いって?狙ってるものなど特別には何もないよ」
「………」
「大神奏が目障りなだけ」
「―――っ」
「裏の世界に帝王はふたりも要らないでしょ。ひとりいればいい」
「…だから、人質なんて姑息な手を使うんですか」
え?人質?
奏さんを誘き寄せるために人質?
「もしかして…」
龍神会跡目の龍さんに目を移すと、満足そうに笑ってわたしに顔を近づけた。
「お嬢さんの察してる通りですよ。妹さんをいただいてきました」
「なっ?」
急激に頭に血が昇る。
妹はまだ中学生。
「あ、喰い物にはしてないので、そこは誤解をしないように」
喰い物って…
「も、もしかして無理矢理に拐ってきたわけ?」