若恋【完】


榊さんがわたしの怒りで震えてる手を押さえる。

こんな男。

わたしの奏さんに似てると一瞬でも思ったわたしが情けなくなる。

奏さんはこんなことしない。

いつだって潔くて真っ直ぐな道を歩んできた。

こんな汚いやり方なんてしない!



榊さんが押さえつけてくれなかったらわたし。

―――たぶん

でも。ごめんなさい。



バッチン!!

「卑怯者!!」

何度叫んだっていい。
この声が潰れたってかまわない。
こんな卑怯な手を考えるしかない龍神会なんかいらない。

榊さんを振り切り思いっきり龍神会トップに立つ男の頬をひっぱたいていた。



「卑怯、もの!」
「奏さんを返して!!」
「わたしの妹を返してよっ!」




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