若恋【完】
「…大神奏と妹さんのふたりを返してほしいなら、お嬢さんがわたしの女になるって言うのはどうです?」
ソファーに座り直し偉そうに足を組み合わせる。
「お断りします」
即答。
冗談じゃない。
誰があなたなんかと。
「奏さんと妹を返してください!」
拐ってきた妹や誘き出してきた奏さんを素直に返してくれるとは思わないけど。
だけど返してほしい。
わたしにとってふたりは大事で守りたいもの。
「お願い。ふたりを返して」
「龍さん、若はどこですか?」
「彼女がわたしのものになるならば教えてもいいけれど」
ちら。と揶揄してわたしをみる。
面白がってるんだこのひとは。
「あなたのものになんかなりません」
即答。
「そりゃ、残念」
榊さんのわたしを押さえる力が強くなる。
「若を返してくれる気はないということですか?」
「彼女がわたしのものになるならばふたりは無傷で帰れるけど」