若恋【完】


榊さんに吊り上げられるような格好で仰け反りながら押さえつけられている。



「ぐほっ」

血を吐き出す勢いで榊さんに押さえつけられている喉を引っ掻く。

「大神物産をなめない方がいいですよ、龍さん」

ヒューヒュー

「龍神会を野放しにしていたのは間違いだったと、若も今頃は後悔していることでしょう。龍さん、あなたが今回したことは若を完全に怒らせただけです」

「…やめ、さか、き」

喉から空気が漏れるような悲鳴のような音がする。

「若はどこです?」

「………」




ガチャリ

小さなドアの音に振り向くと、さっきエレベーターの前に立っていた丸眼鏡の初老の男性が薄笑いを浮かべながらわたしたちを眺めていた。



「もう限界でしょう。龍神会が潰れるならそれまでなんですよ」


仕立てのいいスーツを着ていた丸眼鏡の紳士が背中に腕を入れて後ろから小さな何かを取り出して右手に構えた。



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