若恋【完】
12時に丸井がりおの妹を予定通り連れ出して逃がしてくれた。
あと数分で俺と丸井がここを出る。
…はず、だった。
いきなりドアから想定外な声が聞こえてきて、頭の中が真っ白に。
―――りお?
そしてもうひとりの声の主は榊?
まさか。
まさか。
りおまで捕らえてきて…
歯噛みする。
ここに憎いヤツが現れたら首を食い千切ってやる。
俺の女に触れてみろ!
その時は全面戦争だ!
「若、今ドアを開けます!」
榊が鍵をガチャリと外す。
開けて、ドアの前には。
「りお!!」
血飛沫を浴びた服のまま震えて立っているりおの姿があった。
まだ乾いてはいない。
「…奏、さん。血が、」
りおが榊と一緒に支えているのは丸井。
血がボタボタと滴り落ちて絨毯に染みていく。
もしかしてりおもケガしてるのか!
震えるりおを抱き締めると、
「わたしじゃないの」
丸井?