若恋【完】
「大神さま、…このまま…ここをでますよ…」
丸井の息が熱く荒い。
どこを射たれたのか出血が多い。
榊が難しい顔で俺を見て目で背中だと告げた。
「若、グズグズしてはいられません。すぐ出ます!」
小刻みに震えているりおから丸井の体を受け取り、広い廊下を榊と支えながら走り出す。
「りお、離れるなよ!」
榊と正面につけてあると聞いた車まで全力で走る。
非常階段を降り、龍神会正面へ。
「仁!!!!!!」
叫んで。
バーァァン
乾いた銃声がして。
「ぐはっ」
丸井のうめき声と、
引き千切られる痛みが俺が支えてた丸井の指の下から走った。
「丸井!」
丸井が仰け反る。
車まであと十メートル。